スタンドバイミー 殺されそうになった夏

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ワンコやキャンプとは全く関係無いけれど、この時期になると思い出す恐怖の思い出がある。

小学校6年生の時、夏休みに友達の田舎に泊まりに行った時に起きた事件。

私版のスタンドバイミーなのだ。

 

田舎は最高

私の家は母の実家も同じ市内で、田舎に親戚がおらず、帰省というものが無かった。

なので、夏休みになると遠い田舎へと出かけていく友人が羨ましくて仕方なかった。

そんな時に、仲良しの友達の青木くん(仮名)の山梨県の田舎へ泊まりに行けることになったのだ。

それも、もう一人の友達、内野くん(仮名)と3人だけで。

高学年とはいえ、小学生3人で神奈川県から山梨県まで行くのは、それなりにスリルもあったし、

もうワクワクが止まらないとはこのことだった。

青木君(青ちゃん)は運動神経抜群、スポーツはなんでも、そつなくこなしてしまうといった感じの子供で、

当時は親友に近い存在だった。内野君(うっちゃん)は、どちらかと言えば内向的でおとなしい性格、家の中で遊ぶこと

を好むようなタイプ。私?私は優等生タイプ!でもいたずら好きでもあり、いろんなことに興味を持って、ちょっと

奇抜なことが大好きな子供だった。

タイプが全く異なる3人だからだろうか?

妙に気が合う仲良し3人組であった。

 

さて、青木君の田舎は山梨県身延町にあり、身延線という単線の電車が通る沿線にあった。

丁度、線路と並行してきれいな小川が流れていて、その奥には山がせまるといったロケーションだ。

身延線に揺られて小川と山を眺めながら到着した最寄駅は無人駅で、都会っ子である私には、初めて体験する

人が一人もいない駅だった。そんなことにさえ、超感激したのを覚えている。

電車を降りて、車道を少し歩けば、青木君の親戚の家へ到着だ。

家の周りは都会では到底味わえない自然が息づいていて、昼間は小川に行って、サワガニや小魚を捕って

遊んだ。小川は川幅は2m~3mくらい、深さも子供のくるぶしから膝くらいのもので、深みも無いので子供だけでも

安全に遊べたのだった。

子供は残酷なもので、サワガニに爆竹を持たせて爆破したり、セミやトンボを捕まえては、爆竹を体に巻き付けて

飛ばして爆破したりして遊んだのを覚えている。

ロケット花火を小川に向けて飛ばすと、川の水では消えないで、川の中を潜航して進んでいって最後に爆発すること

を発見!してスゲーッって言って何度も試した。シュッ、プクプクプクー、ボン!が楽しくてたまらなかったのだ。

散々、小川で遊んで帰ってくると、縁側に座ってスイカを食べたり、焼きとうもろこしを食べたり、昼寝をしたり、

最高の1日が過ぎていく。

夜は2階の物干し場に登って、見たことも無い満天の星空を眺めて過ごした。

星座の形が判らないほどの星空と対面したのはこれが最初だったと思う。

 

殺される!?

翌日も昼間は小川で遊び、夜は河原で花火をすることになった。

その事件は、その花火の最中に起こったのだ。

身延線は単線で、当時は線路脇に柵が無かった。小川へは、電車が来ないことを確かめつつ線路を横切って行くのだ。

丁度、線路の部分は土手のように高くなっていて、そこを降りて草むらを抜けると河原だった。

河原といっても幅2mくらいの小川なので小さな空間でしかない。

私達はそこで花火を始めた。夜の8時ごろだったと思う。

小川の向こう側は山がせまっているので、ロケット花火を打ち上げると、破裂音が山肌にこだまして凄かった。

だんだんと悪ノリして、今度は通過する電車に向けて爆竹を投げて、乗客をびっくりさせてやろうということになった。

青木君が線路を見張って、電車が通るのは20分に一本程度だっただろうか。私は爆竹を房ごと手に持って合図を待つ。

「電車がくるぞ!」という青木君の合図で、内野君が導火線に火をつけ、投げる体制を取ったその時だった。

草むらでガサガサっと音がして、一筋の光がこちらを照らした。

誰かが懐中電灯を持って、こちらを照らしているようだ。逆光なので誰なのかまでは分からない。

3人とも、一瞬、ぼーっとその人影を眺めていた。

はっと、気が付けば私の持つ爆竹の導火線は火がついたまま。残りは僅かだ!

まずいっ、とっさに小川の中へ放ったつもりだったそれは、きれいな放物線を描いてなんと懐中電灯の人影の方へ。

あっーと思った時には、その人の肩のあたりにに当たって、そこで炸裂した。

バババババン!

連続して炸裂した爆竹の七色の閃光が人影を包みこむ。

すると、突然、その人影が何かを振り上げるようにして、こちらに向かって走り出したではないか!

「こらーっ」とでも言ってくれれば、「ごめんなさい!」と言えたかもしれないが、無言で走りだされたので

うわー!っと、3人とも、逃げ出さずにはいられない。

その時、私の頭には、その当時見たホラー映画「悪魔のいけにえ」のワンシーンが浮かんでいた。

殺される!

もう、濡れることなどかまっていられない。

小川だろうが、草むらだろうが、とにかく全速ダッシュで逃げるしかない。

気が付くと誰かが「うわーっ、うわーっあー」と声をあげながら走っている。

青木君だ。普段一番足の速い青木君が遅れ気味で、悲鳴をあげながら走っているのだ。

何なんだ?青木君はふざけているのか?走りながら、そんなことを考えた。

内野君はというと、私の前方をわき目もふらずに走っている。

普段、一番足は遅いはずなのに。とにかく一直線一目散。

振り向くと青木君が後方で捕まったようだった。

「うっちゃん。青ちゃん、捕まっちゃったよ!もう、追って来ないようだから一旦、止まれよ!」

と声を掛けても、いっこうに止まる気配がない。一切振り向かず、ひたすら前を見て全速疾走なのだ。

仕方なく、かなり上流の方まで二人で走って逃げて、線路を越え車道へ出た。

「青ちゃん、大丈夫かな。捕まっちゃったけど。まさか、殺されたりしてないよね。」などど話しながら帰路についた。

二人とも、泥だらけの濡れネズミ状態で家に到着。

しばらくして青木君が無事に戻って来た。

聞けば、近所のおじさんが花火がうるさいので注意をしようと様子を見に来ただけだったのだと言う。

それが急に爆竹を投げつけられて、怒って追いかけてきたのだ。

青木君は、散々、説教をくらって帰ってきたのだった。

「なんで爆竹、投げつけたんだよ?」と青木君。

「違うよ。わざとじゃなかったんだよ。川に捨てたつもりが、あの人のところへ飛んで行っちゃったんだよ。」

「そりゃー怒るよ。あの人、爆竹で七色に照らされてたよ。」

「何か、振り上げてたよね。俺、一瞬、鎌に見えた。真剣に殺される!って思ったよ。」

「八墓村だな。」

「俺は悪魔のいけにえのシーンが頭よぎってた。」

「あの人、青ちゃんの知り合い?青ちゃん、わーわー声をあげていたよね。俺、ふざけているのかと思ったよ、違うの?」

「違うよ!夢中で逃げていたら、声が出てたんだよ。」

「そっかー。俺の場合、怖くて声も出なかったけど、青ちゃんはああいう時に悲鳴が出るんだね。」

「それにしてもうっちゃん、全然止まらないんだもん。いくら止まれって言っても、超真顔で完全無視。

普段、脚、一番遅いのに、逃げ足は一番早いんだから。青ちゃんはサンダルだったんだー。ついてなかったね。」

その夜、寝床に入っても今日のいろんなシーンが思い出されて、その度に笑いがこみあげて来て、お腹がよじれるほど

笑いあった。誰も殺されなくて本当に良かった3人組なのだった。

おしまい。

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